どうも、ちゃーこです。
2020年7月、待望の第一子を帝王切開で出産しました。コロナ禍での出産は想像していた以上に孤独で大変だったのですが、産後、娘が多指症であることが発覚します。
このブログを書いている現在、娘は5か月です。2,300gほどでちょっと小柄に産まれましたが、元気にスクスク成長しています。
多指症というキーワードで検索されている方に、どうか、届きますように。
我が子が「多指症」だとわかったとき
先生から「赤ちゃんの右手の小指が1本多いんだよね。」と、告げられたのは、帝王切開の手術も無事終わり、親子3人で感動の対面を果たした後でした。娘は先ほど新生児室へ連れていかれたばかりです。青天の霹靂とは、まさにこのこと。最初は、先生の言っていることが理解できませんでした。
体重が少ないこと、逆子から戻らず、帝王切開での出産になること、それ以外、特に今までの検診で指摘をされたことはありません。先ほどまで腕に抱いていた娘は、おくるみでぐるぐるに巻かれていたので、手を見てはいませんでした。
先生はさらに続けます。「細い茎があって、その先に枝豆くらいの大きさの指が繋がっているんだ。僕が切ろうか悩んだんだけど、血管が通っているから、形成外科で見てもらってください。紹介状書くから、退院したら行ってね。他には何も異常なかったよ。そんなに大げさなことにはならないと思うんだけど…。」
術後、麻酔で頭が働かない中、「え、指が多いの?大丈夫?ほかに何か問題はなの?」と、頭は真っ白。うまく言葉が出てこず、驚きで涙を零す私に、先生は「大丈夫、よくあることだから。今日はゆっくり休んで。」といい、部屋を出ていきました。
一緒にいた夫は先に話を聞いていたらしく、「大丈夫、豊臣秀吉も指6本あったらしいし、ラッキーフィンガーや、神の子って言われたりもするらしいよ。」と謎の雑学で励ましてくれました。手術室から私が戻ってくる前に一生懸命、多指症について調べていたようです。私は、「なんで正常に産んであげることが出来なかったんだろう。」と自分を責め、遠のく意識の中、娘に対して「ごめんね。」と、ひたすら繰り返しました。
そもそも「多指症」とは
多指症とは、その名の通り、正常より指が多い状態のことをいい、手足の指の数が6本以上となる疾患です。多い指の形状は様々で、指の付け根から完全に分離しているものもあれば、イボのように皮膚だけでくっついている状態のものもあり多岐にわたります。細い茎でブラブラする指がつながっているものを浮遊型と言います。
1,000人~2,000人に1人の割合で産まれ、男児にやや多いとされています。手は親指、足は小指に現れることが多いようです。
原因
お腹の中で赤ちゃんの手は、ドラえもんのような丸い手に、裂け目が生じることによって、指が形成されます。この過程で、裂け目が多く生じると指数が増加し、多指症が発生します。多指症の原因については不明とされています。
治療
どの指を切除すべきか、余分な指の組織をどの程度利用するかは、症状に応じて異なり、個別に判断を行います。余分な指を切断するだけで済む場合もあれば、指同士で再建が必要な場合もあります。
手は露出部分でもあり、発達にも関わるので、早期に手術を行うことが望ましいとされていますが、麻酔の影響などもあるため、1歳を目途に手術を行うことが多いようです。
娘は右手の小指の浮遊型
入院中、インターネットで多指症についての検索を行うと、合併症があるだの、ダウン症だの、様々な記事が出てきて、不安を煽られる日々が続きました。娘の場合は、どのような手術になるのか調べたかったのですが、似たような症例のヒットはあるものの、我が子と全く同じ症例は見つけることができませんでした。小指で浮遊型という娘の症例はかなり珍しいようです。
出産した直後はブログをしているなんて思っていなかったので、多指症の症状そのものの写真撮影を失念しておりました。申し訳ございません。代わりに、どのような症状だったかイラストを用意しました。再現度は高いと思います。
右手の小指の付け根あたりに、ちょこっとイボがあり、その先から1.5cmほどの細い茎が生え、さらにその先に枝豆くらいの大きさの、出来損ないのような指がくっついていました。小さいけど爪もあったのを覚えています。他の指に影響はないようでした。細い茎には血管が通っており、切除すると血が出てしまうため、産院の先生は切らなかったそうです。
茎はかなり細く、そのままプラプラさせていると何かに引っ掛けて千切れてしまいそうなので、手の平にお豆指をくっつけてガーゼで覆い、その上からテープをして固定していました。今思えば、普段は見えないようにしていたため、写真を撮る機会がなかったです。
ガーゼの交換は毎日、沐浴後に行っていました。沐浴の際にガーゼは付けたままにしていたので、交換時に濡らした布で覆っている箇所を拭きます。茎の部分がかなり細いため、千切れてしまわないか心配で、ガーゼ交換の作業が一番大変でした。
治療過程
退院後すぐに紹介状を持って、夫とともに形成外科に向かいました。
形成外科の先生は「これは初めて見る…どうしよう…切ってもいいけど…う~~ん。」と戸惑いを見せながらも治療方針を決定されました。特段レントゲンなどの撮影もなかったです。最初こそ泣いていた我が子でしたが、後半は慣れてきたのか、大人しく先生に手の平と指をコネコネされていました。
治療法決定
再建できるような組織はなく、存在している意味はない指であるとの見立てから、「根元を糸で縛って血流を止め、縛った先が壊死してポロっと取れるのを待つ」という方法で治療をすることになりました。
その場で切ってもいいけど、傷口から血が出てしまうし、万が一、傷口が化膿したら大変だから、と、この方法で様子を見ることになりました。看護師さんと一緒に子どもの手を押さえて、目の前で先生がタコ糸のような細い糸を3~4周くらい巻いて終了。「1週間後にまた来てください。もし、その前に、なにかあったら連絡してね。」と言われ、また、ガーゼ生活の始まりです。
「本当にコレで大丈夫かな?」と不安に思うくらい簡単な処置でしたが、縛ったところから先が、日に日に赤紫色っぽく変色していき、シワシワになったあと、カピカピに乾いていきました。ただ、次の受診日になっても自然に取れる気配はありませんでした。
結局、ハサミでチョキン
1週間後、再度、家族3人で形成外科を受診。血流は完全に止まっているため、ハサミで切ることになりました。ここまでで、生後2週間経過しています。毎日、千切れてしまわないか、ビクビクしながらガーゼ交換をしていたので、「やっと、終わるのか…」と、安堵したのを覚えています。
我が子を膝に乗せ、看護師さんと一緒に手を固定します。先生が枝豆指を持ち、茎を伸ばしながら引っ張って、糸の傍にハサミをセット。「はい、いきますよ~」の掛け声の後、「チョキン」というハサミの音とともに、6本目のは娘の手から離れました。糸で縛った先から切ったので、糸とイボは手に残ったままです。
泣きもせず、血も出ず、娘の手の指は5本になりました。あれだけ悩んでいたのが、ウソのようにあっけなく。痛覚はないとのことだったのですが、当の本人は指を切られたことにも気づいていないほど大人しかったです。
気になる切断後の指は、先生に「どうしますか?」と聞かれた際、夫が「持って帰ります。」と即答したため、自宅へ持って帰ることになりました。ガーゼに包まれた6本目の指はへその緒と一緒に大切に保管しています。
いつか、6本目の指について娘に話す日が来たら、見せてあげたいと思っています。
残った糸とイボは…??
糸で縛った先から切ったので、イボの上にチョコンと糸が残っていました。しばらくすれば取れるとのことで、特に処置はなくそのまま帰宅。
処置から3日後の沐浴の後に糸が取れていることに気づきます。注意して見ていたのですが、取れた瞬間は確認できず、いつの間にかなくなっていました。誤飲したのではないかとヒヤヒヤしながらオムツを確認したり、掃除機のゴミの中を探しましたが、結局見つかりませんでした。
またイボは、ある程度子どもが大きくなって、麻酔に耐えられるようになってから処置した方がいいとのことで、現状、手についたままです。おそらく手術時期は1歳前後になるのではないかと思われます。子どもが成長してからでないと行えないため、一旦、通院は終了となりました。
処置にかかった費用について
心配していた医療費は意外と安く済みました。
受診に際して保険証が間に合わなかったため、病院の窓口では全額自己負担、保険証到着後、返金とういう手続きを取ることになりました。月を跨いでしまいましたが、病院の窓口で対応してもらえました。病院によって対応が異なると思いますので、事前に確認されることをオススメします。
全部で通院した回数は2回、トータル1,060円で切断までの治療は完了しました。
5か月たった現在 ※写真あり
生後5か月になり手が大きくなったので、イボはだいぶ目立たなくなりました。よくよく見ると盛り上がりがあるなあってくらいです。娘の記憶に残らないうちに更に目立たなくなるといいのですが、完全には消失しないと思われるので、定期健診などで相談しながら今後の方針を決めることになっています。
また、出産直後は右手にばかり気を取られていたのですが、左手にも指を作ろうとしたような小さなポッチがあることに気づきました。本当に目を凝らしてみないとわからないくらいの小さい突起です。こちらも定期健診などで相談しながら、将来的には整えてあげたいと思っています。
手が正常に機能するのか、非常に心配していましたが、生後2か月を過ぎた頃には、おもちゃを掴めるようになりました。月齢に沿って、できることが増えています。指しゃぶりも左右まんべんなくチュパチュパしていますし、手を胸の前で合わせてコネコネして遊ぶこともできるようになりました。最近は私の指で遊ぶのがマイブームのようで、娘に手を差し出すと、親指から小指まで指の感触を確かめながら、一生懸命ニギニギして遊んでいます。
もともと体は小さめなので、成長曲線の下の方にギリギリ入っている状況ですが、順調に成長しています。目で動くものを追ったり、あやすと笑ったり、今のところ、発育に問題はないようです。つい最近、寝返りができるようになりました。そろそろ離乳食をスタートする予定です。
最後に…
多指症が発覚した当時、ずっと自分のことを責めて苦しみ続けました。「どうしてちゃんと5本指で産んであげられなかったのだろう」と、もう戻ることのできない妊娠中のことを振り返り後悔ばかり。ガーゼに包まれた右手や、切断後に残ったイボを見るたびに、「正常に産んであげられなくて、ごめんね」と、子どもにも夫にも申し訳ない気持ちが募る一方でした。
また、多指症についてインターネットで検索しては、「合併症があったらどうしよう」と、不安ばかりが大きくなりました。新生児のお世話でただでさえ短い睡眠時間を削って、ひたすら多指症やその合併症について調べていました。
当時の私に、「自分を責める必要はないし、いくら責めたところで状況は変わらない」、「インターネットで情報を収集するのは大切なことだけど、変に不安を煽られるのであれば見ない方がいい」、「誰も悪くない」と、教えてあげたいです。
いきなり、「子どもの指が多い」と言われたら誰だって驚くし、色々な感情が渦巻くと思います。ただ、一番大切なのは、ありのままの我が子を愛し、受け入れること。私は自分を責めてばかりで、それに気づけるまで、随分、時間がかかりました。
2021年1月現在、娘は生後5か月なので、残ったイボや左手の突起など、今後、状況に変化があればまたブログにまとめたいと思います。利き手がどちらかわかるのが今から楽しみです。
最後までお読みいただきありがとうございました★